Topics

2021/02/18

心理士コラム第1回「障害福祉とは何だろう?」

障害福祉とは何だろう?とたまに考えることがあります。

福祉とは、もともと人の幸せというような広い意味を指す言葉です。そうすると、一般的な福祉というものは、人の幸せを実現するための活動ということになるでしょうか。意味が広すぎて捉えづらいですが、福祉に携わる者としては何となくしっくりきます。
では障害とは何でしょうか。

障害という言葉を調べると、病気やケガなどが原因で、身体や精神などが元々の機能を上手く果たせない状態、のことと出てきます。それによって日常生活や社会生活に相当な制限が出ると障害者と認定され、支援の対象となることになります。

ですから障害福祉とは、障害があって日常生活などに制限が出ている方の幸せを実現するための活動。私たちハローワールドが行っている就労移行支援や自立支援などに限定すれば、『障害があって、そのために仕事という場面で悩んだり困ったりつまづいたりしがちな方の「働きたい」という希望を実現するための場所』ということになります。

ですが、どうも私は「何か違う」と感じます。私たちが出会う利用者さんたちは、自分たちを「障害があって仕事の場面で悩む」から通所しているわけではありません。少なくとも、利用者さんたちの言葉は、多くの方は、違います。私たちが出会う利用者さんたちはこんな人たちです。

 

働く気はあるのになかなか雇ってもらえない人
色んな仕事をしてみたけどどれも上手くいかない人
何でみんなみたいに上手く仕事ができないんだろうと悩んでいる人
ベッドに入ると、明日も上司に怒られるんだろうな、とぐるぐる考えが回っちゃう人
いっそ倒れちゃえば仕事に行かなくて済むのにな、とぼんやり考えちゃう人
何でいつも人に嫌われちゃうんだろうな、と悲しくなっちゃう人

 

そんなことで悩んで苦しんで自信が持てずに、何か自分を助けてくれる糸口を探してネットで検索する、人に相談する、それから病院や支援機関に辿りついてやっと障害というキーワードにたどり着いた人たちです。そう考えると、「障害があって~」という表現は、少なくとももう支援に辿りついた方たちが自分のことを表現する言葉であって、今本当に支援が必要な方たちが自分を表現する言葉ではありません。障害福祉が必要な方は「今、辛い人」です。

今、辛い人へ。

福祉でも医療でも構いません。どこかにある支援の手を掴んでください。何がしか、変化が起こる最初の一歩になるはずです。
でももし障害ではなかったら?と考えた人へ。その時も適切な支援のところまで支援者がガイドしてくれるはずです。辛さがあるのであれば、障害という名がつこうとつくまいと、どこかに適切な支援が存在します。どんな形であっても、それが自分たちの提供できる支援でなくても、その方の最善を考えるのが私たちの仕事ですから、遠慮することはありません。支援をする人が、皆さんの辛さに気づけるように手助けをする気持ちで、辛いと発信してくれると嬉しいです。

 

<筆者について>
心理士・石川

キャリアカウンセラー・臨床心理士。
大学生の就職支援、長期離職者や就職困難者のキャリアサポート、働く方を主な対象とした心療内科のカウンセラー等を経て就労移行支援事業所の支援員となる。
現在は直接支援から離れて支援員の育成や支援プログラム整備などに従事。

     
  • Twitter