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2021/02/10

事例でわかる!ハローワールドの就労移行支援~注意欠陥・多動性障害(ADHD)・Mさんの場合~

こんにちは、就労移行支援事業所ハローワールドです。

今回の「事例でわかる!ハローワールドの就労移行支援」では、とあるADHDの利用者さん(以下、Mさん)の事例について紹介します。

ADHDの利用者さんの事例は以前にも紹介したことがありますが、一口にADHDや発達障害といってもその特性は十人十色。それぞれの利用者さんに合わせた支援を行っていることが伝わればと思います。

ちなみに、以前紹介したADHDの利用者さんの事例はこちらです。

事例でわかる!ハローワールドの就労移行~注意欠陥・多動性障害(ADHD)・Tさんの場合~

40代になって初めて、自分がADHDだということが分かった

近年「ADHD」という言葉がインターネットなどを通じて広く認知されるようになり、「もしかして」と思って受診する人が増えています。40代で初めてADHDの診断を受けたMさんも、その1人でした。

「仕事でのミスが多く、上司や同僚からはいつも怒られていました。知人にその悩みを話すと、「発達障害ではないか」と言われて……。ADHDの特徴を調べてみると、自分と当てはまる部分が多くて」

これまでの社会人生活の中で、なかなか仕事が長続きしないことを悩んでいたMさん。ADHDだと診断が下ったときは、「やっと原因がわかった」というホッとした思いもあったそうです。

ADHDの特性の一つに、「物事を頭の中で順序立てて考えられない」というものがあります。考えている途中で他のことが頭の中に割って入ってきてしまったり、外部からの刺激などで集中力が途切れてしまったり…Mさんの仕事でのミスの多さは、そんなADHDの特性が原因の一つではないかと考えられました。

社会に出るための第一歩として、自己理解を深めた

Mさんは自分に障害があることを知ってから日が浅く、まだ自分自身について理解が追い付いていない様子でした。そこで私たちは、「自己理解」を第一の目標として定めることをMさんに提案しました。
障害を受け入れてスムーズに仕事を進めるためには、「職場の理解」と「本人の工夫」の両方が必要です。Mさんが再び社会に出て仕事をするためには、それらをMさん自身が理解して周りの人たちに説明できるようにならなければならない。そう考えた上での提案でした。

Mさんには、まずは様々な種類の訓練を行ってもらいました。自分の得意・不得意な分野や、どんな時に「理解が難しい」「頭がゴチャゴチャになる」と感じるのかを肌で感じて理解してもらうためです。
訓練を行っていくと、気持ちが焦っている時ほど頭が混乱してしまい、人からの指示を理解できなくなったりミスをしてしまったりする傾向にあることがわかりました。そこで、マインドフルネスなど気持ちを落ち着ける方法を紹介し、Mさんに合ったものを訓練中に実践してもらうようにしました。

また、口頭で複雑な説明をされると、どうしても理解できなくなってしまうということもわかりました。そういった場合は文章や図を書いて指示をしてもらったり、手順書を作成してもらうなどの職場側の工夫が必要であることも明らかになりました。

「早く就職したい」という本人の要望を聞き入れるべきか

少しずつではありますが、社会復帰に向けて進み始めたMさん。しかしある日突然、そのMさんからこんな申し出がありました。

「アルバイトでいいから、できるだけ早く就職したい。今進めている訓練を打ち切って就職活動に進ませてほしい」

ADHDの特性の一つに、「衝動的な言動をしてしまう」というものがあります。最初は、その衝動性が現れているのかと私たちは思いました。しかし話を聞いてみると、それだけが原因ではない様子。どうやら家庭の事情があり、できるだけ早く収入が必要だという事でした。

私たち支援員は、悩みました。Mさんの状況を聞いていると、「早急にお金が必要」という訴えも頷けました。しかし、だからと言って私たちが必要だと判断した訓練を打ち切って良いものか。現時点のMさんが社会に出ることを、自信を持って見送ることはできるだろうか。支援員同士でも話し合いを繰り返し、出した答えは「NO」でした。

少しずつ自己理解が進んでいたMさんでしたが、職場を想定した訓練で困り事に直面すると、一人では対処できないのが現状でした。この状態で就職したとしても、以前と同じ失敗を繰り返してしまうのではないだろうか。そして仕事を続けられないばかりか、社会生活を送る自信をさらに失ってしまうのではないか。そう危惧した私たちは、Mさんにその旨を伝えました。

Mさんは、はじめはこちらからの説得に応じようとせず、「早く就職したい」の一点張りでした。そこで私たちは、敢えて過去の仕事の「振り返り」をしてみませんか、と提案しました。当時経験した出来事を思い出すことで、「もしこのまま就職した場合、どんな状況が待っているか」というイメージを掴んでもらおうとしたのです。

自分より後に入社した後輩が、気付けば自分の知らない新しい仕事を教えてもらっていたり。
わからないことがあっても質問ができず、結果ミスをしてしまい皆の前で怒られたり。
そんな辛い出来事を鮮明に思い出したMさんは、苦い顔で「あの頃の辛かった出来事を、もう二度と繰り返したくない」と呟きました。そして、「目先のお金に釣られて焦って就職しても、きっと長続きしない。本当にお金が必要だと思うのなら、長期的に働ける状態になってから就職すべきですね」と、考えを改めてくれたのでした。

長期的な将来プランを利用者さんと一緒に考えることも、支援員の役割

それからMさんは、以前のように「早く就職したい」と焦りを見せることはなくなりました。その代わり、これまで以上に真剣に自分の障害と向き合い、訓練に取り組むようになりました。

私たち支援員には、利用者さんの「こう生きたい」という思いを汲み取り、支援に反映させるという役割があります。そのため利用者さんの希望やニーズを聞き入れることは勿論大切です。しかし、利用者さんが短期的な視点で物事を見ている場合は、その希望を言葉通り聞き入れるだけでなく、長期的な将来のプランについても一緒に考える必要があります。今回のMさんの例は、その必要性を改めて私たちに認識させてくれました。

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以上、ADHDである自身と向き合い、新たな人生のスタートを切ろうとしているMさんの事例でした。

障害のあるなしに関係なく、自分の長期的なキャリアプランを考えるのは一人だと難しいもの。「これから先、障害とどうやって生きていけばいいのだろう…」と困った方は、就労移行支援の利用を検討してみるのも良いかもしれません。

私たちハローワールドは、関東エリアを中心に就労移行支援事業所や自立訓練事業所を運営しています。各事業所にて見学や相談を随時受け付けておりますので、少しでも興味がある方は、是非ホームページをご覧ください。

ハローワールドの就労移行支援・詳しくはこちら

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

     
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